逆梁工法 【ぎゃくばりこうほう】 |
ラーメン構造で組み立てた梁は、一般的に天井の下を通るため、室内に梁が出っ張る形になる。この梁の張り出しをなくすと、天井はスッキリし、家具のレイアウトもしやすくなる。また、梁を住戸の外側(一般にバルコニー側)まで移動すれば、天井も開口部も大きく取れる。それを可能にするのが逆梁工法(逆スラブ工法)。
張り出していた下の階の天井が、上の階の床側に出っ張ってくることになり、ここを二重床とすれば配管スペースとして利用でき、また上下階の遮音性を高めることもできる。
また、逆梁をバルコニー側にまで移動すれば、そのままバルコニーの壁として利用でき、開口部も従来より高くなるため、天井高さまでサッシ窓などを大きくとることもできる。 |
キャッシュフロー会計 【きゃっしゅふろーかいけい】 |
企業の経営成績をキャッシュ(現金・普通預金・定期預金等)の増減をもとに明らかにするという会計手法のこと。
通常の企業会計では、企業の経営成績は最終的に当期利益によって明らかにされるが、当期利益には売掛金のように現金収入ではない収入が計上されており、また必要経費として減価償却費のように現金支出ではない経費が計上されている。このため、当期利益はキャッシュの増加とは通常一致しないことになる。
これに対してキャッシュフロー会計では、キャッシュの増減が企業活動の種類別に(営業活動・財務活動などの種類別に)表示されるので、企業の経営成績がキャッシュにもとづいて明確に表示されることになる。
欧米では古くからキャッシュフロー会計にもとづく「キャッシュフロー計算書」の作成が企業に義務付けられており、「キャッシュフロー計算書」は、貸借対照表・損益計算書と並ぶ重要な財務諸表のひとつとされてきた。
これに対して従来のわが国では、上場企業の財務会計を規制する証券取引法(財務諸表規則)上は、キャッシュフロー計算書を作成する必要がないものとされていた。
しかしわが国でも1997年から国際会計基準の導入が開始された(「国際会計基準」参照)。この結果、企業会計審議会の意見書により証券取引法が改正され、1999年4月より開始する事業年度からは、上場会社は財務諸表のひとつとしてキャッシュフロー計算書を作成することが法律上義務付けられた。これにより現在では、わが国の上場企業ではキャッシュフロー会計がすでに実施されている。
キャッシュフロー会計では、キャッシュフロー計算書においてキャッシュの増減が原因別に開示されるが、キャッシュを増加させるためには、一般的に売掛金をへらし、買掛金を増やし、商品在庫(会計用語では棚卸資産)を削減することが有効である。また不要不急の有形固定資産(土地・建物・機械設備等)の取得はキャッシュを減少させる要因となる。
そのため、わが国の上場企業ではキャッシュを増加させるため(あるいは減少させないため)に、固定資産を圧縮する方向に動いている。また上場建設会社・上場不動産会社では、商品在庫である販売用土地建物を売却する動きが加速しており、不動産市場における土地・建物の供給を増やす要因のひとつとなっている。 |
旧法上の借地権 【きゅうほうじょうのしゃくちけん】 |
借地借家法が施行された日(平成4年8月1日)より前に成立した借地権であって、旧借地法にもとづく借地権のこと。 |
給与収入 【きゅうよしゅうにゅう】 |
給与所得者が雇用者から受ける給料と賞与の支払額の総額のこと。
ただし、雇用者から受ける金銭であっても、月額10万円までの通勤手当などは、給与収入から除外されている。
給与収入は、源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載されている金額である。 |
給与所得 【きゅうよしょとく】 |
給与所得とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額のことである。
「給与所得」の金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に記載されている。 |
給与所得控除 【きゅうよしょとくこうじょ】 |
所得税の計算において、給与収入から差し引くことができる金額のこと。
事業収入や不動産収入からは収入を得るために必要とされた経費(必要経費)を差し引くことができるが、給与収入からはごく一部の例外を除いて必要経費を差し引くことができない。
その代わりとして、給与収入から給与所得控除を差し引くことができるものとされている。
そのような意味で、給与所得控除は、サラリーマンにとっての必要経費であると言われることがある。
給与所得控除の額は、給与収入に応じて次のように段階的に決められている。
1)給与収入が162万5000円以下のとき
・給与所得控除は「65万円」
2)給与収入が162万5000円を超え180万円以下のとき
・給与所得控除は「給与収入×40%」
3)給与収入が180万円を超え360万円以下のとき
・給与所得控除は「給与収入×30%+18万円」
4)給与収入が360万円を超え660万円以下のとき
・給与所得控除は「給与収入×20%+54万円」
5)給与収入が660万円を超え1,000万円以下のとき
・給与所得控除は「給与収入×10%+120万円」
※他の場合は省略した。 |
協議の確認 【きょうぎのかくにん】 |
土地収用法において、事業認定の告示から、収用裁決の申請の前までの期間内に限り、収用者が、収用される相手方の同意を得て収用委員会に申請することにより、権利取得裁決と明渡裁決が同時にあったものとみなされる手続のこと。
起業者にとっては当事者間の契約による取得ではなく、原始取得になるため、当該土地等の権利の瑕疵を引き継がないというメリットがある(土地収用法第116条、第117条、第121条)。 |
強行規定 【きょうこうきてい】 |
法律の規定であって、公(おおやけ)の秩序に関する規定を「強行規定」という。また同じ意味で「強行法規」ということもある。
強行規定は、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定であると解釈されている。従って、強行規定に反するような契約をした場合には、その契約はその部分について無効とされる。
この反対に、当事者の意思によって適用しないことができる規定は「任意規定」という。
ある規定が強行規定であるかどうかは、その規定の性質にもとづいて判断するのが原則である。例えば、民法の相続に関する諸規定は、社会秩序の根本に関わる規定であるから「強行規定」であると判断されている。
これに対して、消費者や社会的弱者を保護するようないくつかの法律では、法律中で強行規定であることを明記している場合がある。
例えば、借地権の存続期間等について定めた借地借家法第3条から第8条については、借地借家法第9条で「第3条から第8条に反する特約で、借地権者に不利な特約なものは無効とする」と明記されている。 |
強制執行 【きょうせいしっこう】 |
債務者に給付義務を強制的に履行させる手続のことを「強制執行」という。
強制執行を行なうには、公的機関が作成した確定判決などの文書(債務名義)が必要であり、またその債務名義に「執行文」が記載されていることが必要である。
強制執行は金銭執行と非金銭執行に分類される。
金銭執行とは、債務者の財産を差し押さえて(さらには競売により換価して)、金銭を債権者に交付するような強制執行である。代表的な金銭執行としては「強制競売」と「債権差押」がある。
また非金銭執行とは、金銭債権以外の債権(例えば土地引渡請求権)を実現するために行なわれる等の強制執行である。
なお、債務者(または物上保証人)の不動産に抵当権を設定している債権者が、その抵当権に基づき不動産を競売することは、「任意競売」と呼ばれる。しかし任意競売は、強制執行には含まれない。また任意競売では、「抵当権の存在を証する文書」は要求されるが、「債務名義」は必要ではない。 |