既存道路 【きぞんどうろ】 |
建築基準法が適用された際に現に存在していたことを理由として「建築基準法上の道路」とされている道路のこと。
「建築基準法上の道路」とは原則的には、道路法上の道路・都市計画法による道路・土地区画整理法等による道路・特定行政庁から指定を受けた私道等である。
しかしこれらに該当しなくとも、建築基準法が適用された際に現に存在していた幅4メートル以上の道は「建築基準法上の道路」に含めることとされている(建築基準法第42条第1項第3号)。この第3号の規定による道路のことを一般に「既存道路」と呼んでいる。
またいわゆる2項道路も「既存道路」に含める場合がある。 |
既存不適格建築物 【きぞんふてきかくけんちくぶつ】 |
建基法の規定の施行、または改正の際すでに建っている建築物、または工事中の建築物で、当該規定に全面的に、または一部が適合していないものをいう。既存不適格建築物については、その適合していない規定に限り適用が除外され(同法3条2項)、そのままその存在を認められるが、一定の範囲を超える増改築等を行う場合には、同法の規定に適合するように既存の部分の手直しを行わなければならない(同法3条3項、86条の2)。
|
既存不適格建築物 【きぞんふてきかくけんちくぶつ】 |
事実上建築基準法に違反しているが、特例により違法建築ではないとされている建築物のこと。
建築基準法3条2項では、建築基準法および施行令等が施行された時点において、すでに存在していた建築物等や、その時点で既に工事中であった建築物等については、建築基準法および施行令等の規定に適合しない部分を持っていたとしても、これを違法建築としないという特例を設けている。
この規定により、事実上違法な状態であっても、法律的には違法でない建築物のことを「既存不適格建築物」と呼んでいる。
なお既存不適格建築物は、それを将来建て替えようとする際には、違法な部分を是正する必要がある。
また、建築基準法10条では、特定行政庁は、既存不適格建築物であっても、それが著しく保安上危険であり、または著しく衛生上有害であると認められる場合には、相当の猶予期限を設けて、所有者等に建築物の除却等を命令することができるとされている。この規定により特定行政庁の権限において、著しく老朽化した既存不適格建築物を撤去すること等が可能となっている。 |
北側高さ制限 【きたがわたかさせいげん】 |
次のような高さの規制のことである。
a)自分の敷地の北側に隣の敷地がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる。
b)自分の敷地の北側に道路がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、北側道路と向かいの敷地との道路境界線からその部分までの距離が長いほど高くすることができる。
北側高さ制限は住居系の4つの用途地域(第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域)に適用される。
北側高さ制限は建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されているが、その具体的な内容は、次の1・2のとおりである。
1)第1種低層住居専用地域および第2種低層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+5メートル
2)第1種中高層住居専用地域および第2種中高層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+10メートル
※自分の敷地の北側に道路がある場合は、上記1)・2)の「隣地境界線」を「北側道路と向かいの敷地との道路境界線」と読み替えること。 |
記念物 【きねんぶつ】 |
記念物とは次に該当するもののことである(文化財保護法第2条)。
1)貝塚・古墳・都城跡・城跡・旧宅等の遺跡で、我が国にとって歴史上・学術上価値の高いもの
2)庭園・橋梁・峡谷・海浜・山岳等の名勝地で、我が国にとって芸術上・鑑賞上価値の高いもの
3)動物・植物・地質鉱物で、わが国にとって学術上価値の高いもの
国はこれら3種類の記念物のうち重要なものを、上記の順に「史跡」「名勝」「天然記念物」に指定し保護している(文化財保護法第69条)。 |
揮発性有機化合物 【きはつせいゆうきかごうぶつ】 |
常温で揮発する有機化合物のこと。代表的なものとして、ホルムアルデヒド、クロルピリホス、トルエン、キシレン、ベンゼン、スチレンなどがあり、いずれも人体への有害性が指摘されている。(詳しくはVOCへ) |
寄附行為 【きふこうい】 |
財団法人に関する根本的な規則を定めた書面のこと(民法第39条)。
寄附行為は財団法人の設立者が作成する。寄附行為の必要的記載事項は、目的、名称、事務所、資産に関する規定、理事の任免に関する規定である。 |
義務違反者に対する措置(区分所有法における〜) 【ぎむいはんしゃにたいするそち(くぶんしょゆうほうにおける〜)】 |
分譲マンションなどの区分所有建物では、区分所有法の規定により、区分所有者等は、区分所有者全体の「共同の利益」に反する行為をすることが禁止されている(区分所有法第6条)。
このような共同の利益を守るために、区分所有法では「義務違反者に対する措置」という条項を設けている。その内容は次のA・Bのとおりである。
A)区分所有者が共同の利益に反する行為をする場合
この場合には次の3つの措置が用意されている。
1)行為の停止等の請求(区分所有法第57条)
ある区分所有者が、共同の利益に反する行為をした場合(またはそのおそれがある場合)には、他の区分所有者は、その行為の停止(またはその行為の結果の除去や、その行為を予防するために必要な措置を行なうこと)を、その区分所有者に請求できる。
これは、迷惑行為をする区分所有者に対して、他の区分所有者は誰でもその迷惑行為の停止等を請求できるという意味であるが、実際には管理規約の定めにより理事長が理事会の決議を経て、理事長からその区分所有者に対して正式に行為の停止等を要求することが多い。
なお、この行為の停止等を理事長等が裁判を起こして請求することも可能だが、裁判を起こす場合には、集会の普通決議が必要である。
2)使用禁止の請求(区分所有法第58条)
共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者に対して専有部分の一定期間の使用禁止を請求することができる。
この使用禁止の請求をするには、かならず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要である。
3)競売の請求(区分所有法第59条)
共同生活上の障害が非常に大きく、使用禁止の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者の建物・土地に関する権利を、強制的に競売することができる。
この競売の請求をするには、かならず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要である。
B)区分所有者の同居人や賃借人が共同の利益に反する行為をする場合
この場合には次の2つの措置が用意されている。
1)行為の停止等の請求(区分所有法第57条第4項)
ある区分所有者の同居人や賃借人(区分所有法では「占有者:せんゆうしゃ」と言う)が、共同の利益に反する行為をした場合(またはそのおそれがある場合)には、Aの1の場合と同様に、他の区分所有者は、その行為の停止等を、その区分所有者に請求できる。
なお、この行為の停止等を理事長等が裁判を起こして請求することも可能だが、裁判を起こす場合には、集会の普通決議が必要である。
2)占有者に対する引渡しの請求(区分所有法第60条)
共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする占有者に対して、専有部分の引渡しを請求することができる。
この請求をするには、かならず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要である。
この請求が裁判で認められると、占有者はその専有部分から退去しなければならない。 |
規約 【きやく】 |
→「管理規約」
区分所有法にもとづいて設定される、区分所有建物における区分所有者相互間の関係を定めるための規則のこと。
区分所有法では単に「規約」と呼んでいるが、一般的には「管理規約」と呼ばれている。
区分所有建物では、区分所有者の権利関係が複雑であり、また区分所有者の共同の利益を害するような行為を排除する必要がある。このため、詳細な規則である「管理規約」を区分所有者自身が設定することが、区分所有法によって事実上義務付けられているのである。
管理規約を設けるためには、区分所有者の集会において、特別決議(区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上)により可決する必要がある(区分所有法第31条)。
管理規約で定めるべき事柄には、区分所有法上の制約は特にないので、区分所有者の意思によりさまざまな事項を定めることが可能である(区分所有法第30条)。
一般的には、次のような事柄について管理規約で定めることが多い(下記1)から7)は平成9年に建設省(現・国土交通省)が定めたガイドラインである「中高層共同住宅標準管理規約」から抜粋した)。
1)敷地、建物、付属施設の範囲
2)共用部分の範囲
3)敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4)専用使用権の範囲
5)敷地利用権と専有部分の分離処分の可否
6)使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
7)管理、管理組合、集会、理事会、会計等に関する事項
なお、管理規約は集会の特別決議で設定されるべきものであるが、次の4つの事項に限っては、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している時点において公正証書で定める場合に限り、集会を経ずに、マンション分譲業者が単独で管理規約を設定することができるとされている(区分所有法第32条)。
1)規約敷地
2)規約共用部分
3)敷地利用権の共有持分の割合
4)専有部分と敷地利用権の分離処分の可否
|