事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所 【じむしょいがいでせんにんのたくちたてものとりひきしゅにんしゃをおくべきばしょ】 |
宅地建物取引業法では、法第3条第1項の「事務所」には専任の宅地建物取引主任者を一定割合以上設置することを義務付けている(詳しくは宅地建物取引主任者の設置義務)。
しかし法第3条第1項の「事務所」に該当しない案内所・展示会等であっても、契約締結等を行なう場合には、宅地建物取引業の業務の適正を確保すべき必要性が非常に高いと言える。
そこで宅地建物取引業法では、こうした案内所等が一定の要件に該当する場合には、1名以上の成年の専任の宅地建物取引主任者を常時設置するように義務付けているのである(法第15条第1項、第2項、施行規則第6条の2)。
このような「事務所以外の場所であって、専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」とは、具体的には、施行規則第6条の2で規定されている。ただしこの施行規則第6条の2の内容は複雑なので、A:外形的な要件とB:実質的な要件に分けてそれぞれ説明する。(なお以下の文章は国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にもとづいている)
A:外形的な要件
施行規則第6条の2で規定する「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」とは、次の4種類の場所のどれかに該当することが必要である。
(1)事務所以外で継続的に業務を行なう施設を有する場所
(2)10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物を分譲する場合の案内所
(3)他の宅地建物取引業者が分譲する10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物について、代理または媒介をする場合の案内所
(4)宅地建物取引業者が展示会その他の催しをする場所
上記の(1)は、「事務所」と同等程度に事務所としての物的施設を有してはいるが、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する者(支店長・支配人など)が設置されていないせいで、「事務所」から除外されるような場所を指している。
具体的には「特定の物件の契約又は申込みの受付等を行なう場所」「特定のプロジェクトを実施するための現地の出張所」等が該当する。
(2)は、一団地(すなわち10区画以上の一団の宅地または10区画以上の一団の建物)の分譲をするための案内所のことである。これには臨時に開設する案内所も含まれる。例えば「週末に宅地建物取引主任者や契約締結権者が出張して申込みの受付や契約の締結を行なう別荘の現地案内所等のように、週末にのみ営業を行なうような場所」も含まれる。
(3)は、上記(2)の分譲について、販売の代理や媒介を行なう宅地建物取引業者が設置する案内所を指している。
(4)は、「宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行なう不動産フェア」「宅地建物の買い換え・住み替えの相談会」「住宅金融公庫融資付物件等のように一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会」「売買契約の事務処理等を行なう場所」などのように、催しとして期間を限って開催されるフェア・展示会・相談会・抽選会その他を指している。
B:実質的な要件
上述のAの(1)から(4)の場所において、契約を締結しまたは契約の申込みを受けるとき、その場所は「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」となる。
ここで「契約の締結」「契約の申込みを受ける」という言葉の具体的な意味が「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」で詳しく規定されているので以下で紹介する。
(ア)契約の締結
契約とは、「宅地建物の売買・交換の契約(予約を含む)」「宅地建物の売買・交換・貸借の代理・媒介の契約(予約を含む)」を指している。従って、物件の売買契約だけでなく、物件の売買の媒介契約や、物件の賃貸の媒介契約なども含まれている。
このような意味での契約を締結するためには、「契約を締結する権限を有する者が派遣されている」か、または「契約を締結する権限の委任を受けた者が置かれている」ことが必要となる。
(イ)契約の申込みを受ける
契約の意味は上記(ア)と同じである。
また「申込み」とは、契約を締結する意思を表示することであるが、手付金・申込証拠金などの金銭を交付して締結の意思表示をする場合だけではなくて、「物件の購入のための抽選の申し込み」のような金銭の授受を伴わない意思表示も含まれるので、注意したい。
なお「申込みを受ける」ためには、「契約を締結する権限を有する者が派遣されていること」または「契約を締結する権限の委任を受けた者が置かれていること」は必須ではない。この点にも注意したい。 |
事務所等 【じむしょとう】 |
宅地建物取引業法では、その第15条第1項で、一定の場所には、成年で専任の宅地建物取引主任者を置かなければならないと定めている。
この専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所のことを、宅地建物取引業法では「事務所等」と表現している。
「事務所等」とは具体的には次の2種類の場所を指す言葉である。
(1)「事務所」
原則的には本店・支店を「事務所」と呼ぶ。ただし、本店・支店以外であっても、継続的に業務を行なうことができる施設に宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」に含まれることになる。(宅地建物取引業法施行令第1条の2)
(2)「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」
これは上記(1)の事務所以外であって、専任の宅地建物取引主任者を置かなければならない場所のことである。この場所は宅地建物取引業法施行規則第6条の2において具体的に規定されている。
この規則第6条の2の内容は複雑なので、概略だけをまとめれば、「事務所以外で継続的に業務を行う施設を有する場所」「10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物を分譲する場合の案内所」「他の宅地建物取引業者が分譲する10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物の代理または媒介をする場合の案内所」「宅地建物取引業者が展示会その他の催しをする場所」という4種類の場所であって、契約の締結または契約の申込みの受付をする場所が、この規則第6条の2の場所である。
なお「事務所等」という言葉は、上記のとおり宅地建物取引業法第15条第1項で定義されている。しかし宅地建物取引業法第37条の2(クーリングオフ)においてもやはり「事務所等」という言葉が使用されている。両者は異なる内容を指しているので注意したい。 |
社印 【しゃいん】 |
会社の印鑑であって、代表者印でも、銀行印でもない印鑑のこと。
印影が正方形であることが一般的なので、「角印」とも呼ぶ。
見積書・請求書などに押印する。 |
社会保険料控除 【しゃかいほけんりょうこうじょ】 |
ある個人が自分自身の社会保険を支払った場合や、配偶者や扶養親族の社会保険を支払った場合には、その支払金額の全額を、所得から控除することができる。これを社会保険料控除という。
ここでいう社会保険とは、健康保険、介護保険、厚生年金、厚生年金基金、国民年金、国民年金基金などである。 |
借地権 【しゃくちけん】 |
建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいう(借地借家法2条1号)。借地権者は地代支払い等の義務を負うが、借地借家法は土地賃借権の登記(民法605条、不動産登記法1条)、または地上権の登記がなくても地上建物に登記があれば、借地権の対抗力を認め、その存続期間を定め(借地借家法3条)、契約の更新を広くみとめ(同法5〜7条)、さらに借地権の譲渡や借地転貸の場合の借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可(同法19条)や借地権者の建物買収請求権(同法13条)等の制度を設け借地権を強化した。借地権は、ひとつの財産権としての評価を受け、借地契約に当たっては、その割合の権利金が授受されることがある。
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借地権 【しゃくちけん】 |
借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。
1)建物を所有する目的で設定された地上権
2)建物を所有する目的で設定された土地賃借権
従って、資材置場にする目的で設定された土地賃借権は「借地権」ではない。
また、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではないことになる。 |
借地借家法 【しゃくちしゃっかほう・しゃくちしゃくやほう】 |
借地関係・借家関係について規定する法律。
借地借家に関する法制度は、かつては借地法・借家法の二本立てであったが、平成4年8月1日にこの借地借家法が施行されたことにより一本化された。 |
借家人に対する補償 【しゃくやにんにたいするほしょう】 |
土地収用法第88条の通常損失の補償の一つ。政令(土地収用法第八十八条の二の細目等を定める政令)の第25条に規定されている。
収用において、土地等の収用に係る土地にある建物の全部または一部を現に賃借する者がいる場合において、この賃借人がその建物の賃借を継続することが不可能になる場合には、
(1)新たに従前の賃借の目的物に照応する物件を賃借するための契約を締結するのに通常要する費用、
(2)新たに賃借する物件における居住または営業を安定させるために必要な期間中の、当該物件の賃借料と従前の物件の賃借料との差額が補償される。 |
遮水工封じ込め 【しゃすいこうふうじこめ】 |
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置のひとつ。
汚染土壌を当該土地から掘削し、当該土地に地下水の浸出を防止するための構造物を設置し、さらにその構造物の内部に掘削した汚染土壌を埋め戻すことである。
遮水工の上部は十分な遮水効力と十分な強度を保つ覆いを施し、また上部の利用用途によりさらに覆土する場合がある。
なお遮水工封じ込めを行なう際には、掘削した汚染土壌を一旦指定区域の近傍の土地に仮置きし、掘削した場所に遮水工を施して後に汚染土壌を埋め戻すこととなる。 |
遮断工封じ込め 【しゃだんこうふうじこめ】 |
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置のひとつ。
汚染土壌を当該土地から掘削し、当該土地に必要な水密性および耐久性を有する構造物を設置し、さらにその構造物の内部に掘削した汚染土壌を埋め戻すことである。
遮断工封じ込め措置は、遮水工封じ込め措置よりもさらに厳重な封じ込め措置である。
遮断工の上部は十分な遮水効力および措置実施後の上部の利用用途により破損しないような十分な強度を保つ覆いを施し、また、上部の利用用途によりさらに覆土する場合がある。
なお、遮断工封じ込めを行なう際には、掘削した汚染土壌を一旦指定区域の近傍の土地に仮置きし、掘削した場所に遮断工を施して汚染土壌を埋め戻すこととなる |