下がり天井 【さがりてんじょう】 |
パイプスペースや梁の出っ張りにより、天井より下に下がった部分(低くなっている部分)を指す。図面上では点線で表示することが多い。 |
詐欺 【さぎ】 |
詐欺とは、他人を騙すことにより、その者に誤った動機を抱かせることである。言い換えれば、詐欺とは他人を動機の錯誤に陥れることである。 |
先取特権 【さきどりとっけん】 |
債権者が、債務者の財産から優先的に返済をうけることができるという権利のことを、「先取特権」という(民法第303条)。
この先取特権は、すべての債権者に認められるのではなく、一定の特殊な債権を持っている人にのみ認められる。 |
詐欺における第三者保護 【さぎにおけるだいさんしゃほご】 |
詐欺による意思表示は、本人が取消すことができる(民法第96条第1項)。例えばAがBの詐欺により土地の売却を行ない、土地を取得したBがその土地をCに転売した場合には、AB間の土地売買は詐欺を理由として取消すことが可能である。
しかしAが土地売買を取消した場合、その売買は初めから無効であったものとして扱われる(民法第121条本文)ので、Cは権利のないBから土地を購入したこととなり、CはAに対して土地を返還する義務を負うこととなってしまう。
これでは取引の安全が確保されないので、民法ではCが善意である場合(すなわちAが詐欺にあっていたことをCが知らない場合)には、Aは取消しの効果をCに対して主張できないと定めている(民法第96条第3項)。これにより善意のCは有効に土地の所有権を取得できることとなる。なおこの場合に、第三者Cには無過失までは要求されない。
また第三者Cが土地の登記を備えている必要があるかどうかについては学説が対立している。有力説は、詐欺における第三者Cの保護は、詐欺にあった本人Aの犠牲において達成されるのであるから、第三者Cは自己の権利の確保のためになすべきことを全て行なうべきであるとして、第三者Cが自分名義の登記を取得することを要求する。
なお判例は農地売買において、第三者が仮登記を備えるべきであると判断しているが、これは特殊な事例であって、一般論ではないと解釈されている(昭和49年9月26日最高裁判決)。
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詐欺による意思表示 【さぎによるいしひょうじ】 |
詐欺とは、他人を騙すことにより、その者に誤った動機を抱かせることである。言い換えれば、詐欺とは他人を動機の錯誤に陥れることであるということができる。
詐欺により動機の錯誤に陥れられた者が、その錯誤にもとづいて意思表示を行なった場合には、その意思表示は取消すことができる(民法第96条第1項)。
ただし、詐欺とは社会通念に反する違法性を帯びている場合に限られるので、例えば「この土地は値上がりするはずだ」と単に告げる程度では詐欺に該当しない。
また詐欺と意思表示との間には因果関係が必要とされており、詐欺が動機を決定づけた場合にのみ、その詐欺にもとづく意思表示は取消しが可能なものとなる。
詐欺により法律行為が行なわれた場合に、詐欺があったことを知らない(=善意の)第三者は原則的に保護されるべきである。民法では第96条第3項でこのような第三者を保護している(詳しくは詐欺における第三者保護へ)。
なお詐欺は取引の当事者が行なう場合だけでなく、当事者以外の者が行なう場合もある。これは第三者詐欺と呼ばれ、民法第96条第2項が適用される(詳しくは第三者詐欺へ)。 |
錯誤 【さくご】 |
錯誤とは、内心的効果意思と表示行為が対応せず、しかも表意者(=意思表示をした本人)がその不一致を知らないことである。
錯誤は本来、内心的効果意思を欠く意思表示であるから、錯誤にもとづいて法律行為を行なった本人を保護し、錯誤にもとづく法律行為を無効とするのが原則である。しかしそれでは表意者の意思表示を信頼した相手方の保護に欠ける結果となるので問題である。
そこで民法第95条では次の方法により表意者保護と相手方保護の調整を図っている。
1:法律行為の要素に関して錯誤があったとき
意思表示は法律行為の要素に錯誤があった場合に無効とする(民法第95条)。法律行為の要素とは「意思表示の内容の主要な部分であり、社会通念上この点について錯誤がなければ表意者はそのような意思表示をしなかっただろうと認められるような部分」のことである。このような重要な部分について錯誤があれば、表意者を保護しようという趣旨である。
2:表意者に重大な過失があったとき
表意者に重大な過失があったときは、表意者が自ら無効を主張することができない(民法第95条但書)。これは表意者が少し注意すれば、要素に関する錯誤を回避できた場合には、その表意者は保護に値しないので、無効の主張ができないものとするという意味である。なお、表意者に重大な過失があった場合でも、相手方が錯誤を知っていた場合には、相手方を保護する必要はないので、表意者から無効を主張することが可能となる(判例)。
なお民法第95条では、動機そのものが思い違いに基づくものである場合には「錯誤」の範囲に含めることができないので表意者を保護することは本来できないが、判例ではこうした場合にも一定の要件のもとで「錯誤」として取扱い、表意者を保護している(詳しくは動機の錯誤へ)。 |
錯誤における第三者保護 【さくごにおけるだいさんしゃほご】 |
錯誤により法律行為が無効とされた場合、それにより不測の損害を被る善意の(錯誤があったことを知らない)第三者を保護する規定は民法には存在しない。
例えばAに錯誤があり、AB間で土地の売買が成立し、Bが土地を善意のCに転売したというケースでは、Aが錯誤を主張すれば、AB間の売買が無効となるので、Cは無権利者から土地を購入したこととなり、Cは土地を返還しなければならない。しかしこれでは取引の安全を著しく害する結果となる。
そこで民法学の有力説では民法第96条第3項を類推適用して、善意の第三者(上記の例ではC)を保護することを主張している。民法第96条第3項は詐欺により表意者が法律行為を取消した場合であっても善意の第三者に対してはその取消しの効果を主張できないとする規定である。この規定を錯誤の場合に類推適用すれば、上記の例では善意のCに対しては錯誤による無効を主張できないこととなり、取引の安全が確保されることとなる。 |
差押 【さしおさえ】 |
競売(または公売)の前提として、あらかじめ債務者の財産の売却等を禁止するような裁判所の命令のこと。
仮差押が、債務者の財産を一時的に凍結する命令であるのに対して、差押は競売(または公売)の手続が開始すると同時に行なわれるものである。
差押の原因は次の3つのどれかである。
1)抵当権等を実行するための任意競売が開始されたこと
2)裁判所の判決等にもとづく強制競売が開始されたこと
3)税金の滞納にもとづく公売が行なわれること |
差押の登記 【さしおさえのとうき】 |
不動産に対する差押が行なわれた際に、不動産登記簿に記載される登記のこと。
競売または公売の手続が正式に開始されたことを公示する登記である。
差押の登記に書かれる「原因」には次の3種類の文言がある。
1) 抵当権等を実行するための任意競売が開始されたとき
→原因「競売開始決定」
2) 裁判所の判決等にもとづく強制競売が開始されたとき
→原因「強制競売開始決定」
3) 税金の滞納にもとづく公売が行なわれるとき
→原因「税務署差押」 |
サムターン 【さむたーん】 |
扉を閉めた状態で、指でつまんで回すと施錠される捻り金具。外側からは鍵を用いないと開け閉めできないが室内側からはサムターンを回せば戸締まりができる。 |